外国で特許を取得する目的・特許出願国を決めるための指針
外国出願の目的を認識しておくことは重要です。費用をかけて特許出願をする価値があるか、どの国へ出願するべきか、などを検討する際に、「外国出願をする目的は何であるのか？」という軸をしっかり把握しておくことが、出願の判断にとって適切な助けになります。
市場を守る要素とは
外国で特許や商標を取得しようとするときの目的は、自社の製品市場を競合他社から守るということです。
製品市場を守るための「盾」になるものは特許だけではありません。価格競争力、品質、クレーム対応などを含めた営業力、等々、重要な要素はたくさんあります。どれか一つだけの「盾」で製品市場を守れるほど甘くはなく、自社のリソース（ヒト・モノ・カネ）をにらみながら総合的に価値を高めていくことが重要です。
これらの「盾」の中で、知的財産（特許・商標）の特徴はどこにあるでしょうか。重要な特徴として、特許・商標は法律的な要素が強く、また、国際条約の整備が進んでいるので、現地企業と外国企業との間での内外格差が小さいことが挙げられます。例えば、「営業力」では言語のカベや商習慣のカベがあり、現地企業が優位であると考えられますが、特許では、そのような現地企業の優位性を低減する仕組みがあります。
自社製品の展開の一歩先を行く特許戦略を
特許や商標が存在することにより、もし、他社が自社市場に権利侵害するかたちで侵入してくれば、差止請求や損害賠償請求といった強力な法的保護を求めることができるので、知的財産権は、他社に対する「抑止力」になります。このことが、特許や商標が、自社市場の「盾」としてはたらく仕組みです。特許は、その対象技術（発明）が外部に公開される前に出願せねばなりません。したがって、自社市場を育てた後に権利取得を目指すのでは間に合わず、前もって出願（投資）する必要があります。この点が悩ましいところですが、現実を受け容れ、自社のリソースをどの時期に、どの地域に振り向けるべきかを早期に検討することが重要です。
